スポラボInc.

おとうさんのためのスポーツショー講座 ~明日役立つスポーツネタを~

マスターズの観客は毎年同じ!?オーガスタの住人パトロンの秘密

パトロンに支えられるゴルフの祭典『マスターズ』

春に開催されるこのメジャートーナメントは、文字通り世界中から超一流のトッププロが集結することでゴルフファン以外の多くの方も知っている大会だと思います。
メジャーの中で唯一開催コースが変わらない事でも有名であり、その舞台となるのがオーガスタナショナルゴルフクラブ。
毎年伝説が生まれる今大会だが、それを現地で見守るファンが毎年同じ人々だということはあまり知られていない。

もうお気づきの方も多いでしょうが、その見守り人こそが『パトロン』です。

 

パトロン』という言葉、意味合い的にはギャラリー(観客)と同義語

それではなぜマスターズの観客がパトロンと呼ばれるに至ったのか。
その答えはマスターズの歴史にありました。
マスターズは、創始者・球聖ボビ・ジョーンズが立ち上げたものとして知られていますが、
その創生期は資金難に悩まされていたといいます。
そこでジョーンズを支援したのがオーガスタ・ナショナルGCのメンバーなのですが、
資金運営にも携わったということからパトロンと呼称されるようになったようで、その名残でマスターズの観客はパトロンと呼ばれるに至ったようです。
ちなみにマスターズの賞金の元手はパトロンの入場料だったりします。変則的ではありますが、現在では入場料から経費を引いて事後的に賞金が決められているようです。
マスターズでは観客のことをギャラリーとは言わず「パトロン」と呼ぶ由縁がここにもあるのでしょう。

パトロン』は、なぜ毎年同じ人々なのか!?

マスターズの本戦会場には、連日約3万5000人ものパトロンが訪れる。つまり3万5000枚ほどのチケットがゲートを通過していることになるのだが、
そのチケットはパトロンリストに登録された人達に限り先行販売されます。
一部ネット販売などもあるようだが、一説によると一般の人々が手に入れられる確率はあのスーパーボウルより低いプレミアムチケットと言われているようです。

先のパトロンリストは世襲制となっており、パトロンの辞退者が出るとウェーティングリストから補充される仕組みなのだが、1972年に締め切られて以降そのウェーティングリストにすら追加がない状態が続いている。
また、パトロンが亡くなってもマスターズ委員会に届け出ず、遺族が購入し続けている例も少なくないという状況なので、新たにパトロンになるのはほとんど不可能なのです。
こういう状況から毎年、同じ顔触れがパトロンに並ぶというのも納得いただけたかと思います。

一見さんお断りの『パトロン』、ゆえに守られるマスターズの格式や歴史の重み

パトロンは単にゴルフを見に来る観客ではなく、
積極的にゴルフにコミットし、
マスターズに集う選手たちを鼓舞・激励しつつ、
選手とともに夢の舞台を盛り上げ作り上げる存在となっています。
果敢な攻めにはたとえ失敗しても大きな拍手を贈り、反面逃げたようなプレーには大ブーイングで叱咤する。こうしたパトロンが創り出す空気こそがマスターズそのものなのでしょう。
クリフォード・ロバーツ氏が決めたマスターズの伝統は守られています。マスターズのパトロン達は世界一のギャラリーと言えるでしょう。